ヒマつぶし情報
2020.11.06
閉園前のとしまえん 思い出巡り旅に行ってきた。【さよなら、ありがとう、としまえん。】<VVmagazine74>
閉園前に思い出巡りの旅へ...(涙)

祖母が西武池袋線沿線に住んでいた関係で、小さい頃から遊園地と言えばとしまえん。
昔は今みたいに写真を撮るのが身近じゃなく特別な時だけでしたから、スペシャルなお出かけだった訪問時の写真がたくさん残っています。そんなとしまえんが8月末で閉園と聞けば出掛けずにいられません。
♪としまえんのハイドロポリスは〜...前日からキャッチーなCMソングが繰り返し脳内再生。遠足気分で年甲斐もなくソワソワして寝つけず、つい夜更かししちゃいました。
訪れたのは閉園まで33日となる7月29日。
時に雨のチラつく曇天模様でしたが是非もなし。それでも園内を歩く頃には雨も降らなくなっていたのでよしとしましょう。まずは入場してすぐ、左手にある大きな花壇の前でパチリ。必ず撮っていた記念撮影スポットです。母とのツーショットが残っており再現しようと思いましたが、感染予防のため母は遠征を断念。加藤茶よろしく「コロナが憎い」です。
左が35年ほど前、右が2020年。
正門から真っすぐ進むと、1907年ドイツ生まれ、ニューヨークを経てとしまえんに辿り着いた回転木馬「カルーセルエルドラド」が姿を現します。100年以上の歴史を持つ貴重な乗り物・エルドラドは2010年8月7日、晴れて「機械遺産」の認定を受けました。エルドラド=黄金郷とはよく言ったもので、今もピカピカ。久々に揺られてみましたが、亡き祖母に乗せてもらった思い出がリフレイン、プラスすっかり弱った三半規管のせいで思った以上にクラクラしました。
栄枯盛衰は世の習い。当然遊園地の乗り物にも移り変わりがあります。懐かしの乗り物はどれぐらい残っているだろうと訪ねてみましたが、ジープに乗って古代のアフリカを巡る「アフリカ館」はとうの昔に閉館……(98年)。アフリカ館の近くにいたとおぼしきマサイ族とまた写真を撮りたかったのですが、大事なことはいつも大抵間に合いません。

「アフリカ館」前での記念写真(約35年前)
ですが、同じく思い出の「ミステリーゾーン」と「ミラーハウス」は今も健在。名前の割に中は思いっきり和風な「ミステリーゾーン」、『燃えよドラゴン』や最近だと『アス』(ジョーダン・ピール監督作)を思い出させる「ミラーハウス」と楽しめました。
園内をさらに進んでプールへ。入り口を通るとまずはドーンとロッカー室が広がります。ここはイベントに使用されることもあり、昔懐かしPCエンジンの発売イベントに高橋名人が登場(87年)。人生で初めて遭遇する有名人に興奮したものです。
余談ながら、後年取材の機会を得た名人は当時の子どもファンを軽く見ずとても丁重に接してくれ、憧れが再燃した次第。
「イモ洗い」という言葉の意味を知ったプールも、今日は寂しい人の入り。ほんとコロナ、この野郎。水がメチャメチャ冷たいことがあったり、水着の女性目当てで高校時代に友達と出掛けてきたのをフイに思い出しました。その後やり取りなくなってしまったアイツら、今どうしているんだろうか。
訪問終盤はオートスクーター、アンチックカーと昔よく乗った車もの2連戦。"ガタン"と尻越しに伝わる振動を体が覚えていて、途端に溢れ出す思い出にもう胸がいっぱい。勝手に一人でNHK『ファミリーヒストリー』してしまい、くるりの『Remember me』が掛かってきてヤバかったです。
子どもの頃の思い出に浸りながら、ひとりカートに乗る中年。
そんな私の"おもひでぽろぽろツアー"はこれにて終了。ちゃんとお別れするのって大事ですね。夏は地面に寝転び見上げた花火も忘れられません。
ありがとう、としまえん。さようなら。
本記事はVVmagazine vol.74に掲載されたものの転載です。
